⒈紛争について考える
紛争という言葉の意味するところは非常に広く、言葉の意味は揉め事や争いごと等を幅広く示すものです。
しかしながら近年では、この言葉を使用する場合にはある程度規模の大きな問題事を指し示す場合が多くなってきています。
つまり裁判などによる法的な争いや経済関係の争いでも使用される一方で、主に武力衝突などをイメージさせる内容に変わりつつあります。
それは一般的に戦争と言われるものと近いものであり、国家間の争いごとは勿論のこと、国内問題でも内戦のような問題に使用される用語になってきています。
一般的にこのような問題が発生する場合には、お互いの間にしっかりとした決め事が成立していない場合がほとんどです。
特に国家間の場合にはお互いにお互いを承認し合うという行為によって、国家の存在を維持することが出来るようになる仕組みがあり、その状態を維持するために条約をはじめとする様々な国家間の取り決めごとを行うものです。
この取り決めごとは国家を成立させるためには非常に重要なものであり、それが順守され続ける限り問題は大きくなることなく処理されます。
⒉国家間の紛争は複雑
しかしながら近年ではそのような国家間の取り決めの枠を外れた行為による様々な問題の発生があり、これが国家間の関係を悪化させているという状況があります。
もしも国家間で交わされている条約を反故にする状況があるとすれば、それが紛争であると言えるでしょう。
現代社会にもありますが、この様な争いごとは歴史的に見てもかなりたくさん行われてきました。
物事に対する考え方の相違がお互いの話し合いの中で解決することが出来ない場合、その障害を取り除く手段として武力を用いることがあり、それを歴史的に戦争と呼んできました。
そのため争いごとの発生は相いれない価値観の衝突の結果であり、時には悲惨な出来事になってきました。
日本ではこのような問題に対する明確な線引きはありませんが、海外ではこのような争いを何段階かに分類して評価する仕組みが作られるなど、歴史的に見ても問題解決の手段に利用されてきたことから問題の強度に応じた分類が存在しています。
その最も重大な事項が国家間の戦争であると言えるでしょう。
⒊紛争状態の解決につながる条約の存在
一般的な分類では、国家間がお互いを認めて国交を樹立している状態が安定しているものであると考えられています。
たとえ戦争をしたとしても、勝った側と負けた側でしっかりとした取り決めが交わされ、それが平和条約と呼ばれるものになっています。
日本もかつて戦争を経験しており、その後国交正常化の中で平和条約を結んできた経緯があります。
紛争状態の解決につながるのがこの条約の存在であり、国と国同士が成り立つために重要なものであるという背景から条約は国内法よりも上位のものとして位置づけられることになります。
国家間の約束事を守るからこそ国家はお互いを国家であると承認するのであり、それによって安定を保っていると言えるでしょう。
現在世界ではいくつかの国が争っている状況にありますが、これも紛争状態であるとみなすことが出来ます。
最終段階である武力による争いが生じる以前の段階でも、国家の存続に影響を及ぼすような問題が生じることがあります。
海外の話では国内の一部地域の独立活動などが該当することになります。
⒋紛争状態はすでに現代社会でも発生している
このような問題が生じる背景には考え方の違いに基づく均衡状態の崩壊や数の暴力による不公平感、イデオロギーによるものなど心理社会的な様々な要因が複雑に結びつくものです。
特に重要な土地や資源が存在している地域の争いは長期間にわたって継続する場合が多く、戦争状態や内戦状態を維持することになります。
この様な問題は現状に対する不満の解決を平和的に行うことに失敗した結果であり、最後の手段としての武力行使であると言えます。
人類の文化的な度合いはかつてに比べて非常に高いものになりましたが、地球の環境破壊による様々な問題への対処を行う中で世界中で父や資源を巡る争いが発生する可能性が高まると予測されています。
このような紛争状態はすでに現代社会でも発生しており、未然に防ぐための行動があらゆる局面で発生していると日本ユニセフは注意を促しています。
直接武力による戦闘行為による解決ではなく、経済的なダメージを狙った行動も経済戦争と言われる場合があり、広い意味では紛争に該当する部分があると考えられます。
この問題の理解のためには現状の打破のための手段として用いられているという理解が必要になります。
以上のことから国内、または国家間の争いごとは現在も、そしてこれからも発生していく可能性があります。
このことを念頭に置いたうえで、どのように大規模ない事を発生させずに問題を解決することが出来るのかという点において国際的な協調が必要になると考えられています。
国家を含む集団が現状を変更するための最も強硬な手段である武力行使は避けるべき行為であり、そのための知恵を世界が必要としています。
最終更新日 2025年7月8日 by donkor